消防の集い 講演会
                                 
2005.11.14 「減量について」レパード玉熊



今日は減量をテーマにお話するのですが、消防の集まりに減量は全く関係無いので、話の前にちょっとだけ関係のあり話をさせていただきます。
今、ホクシング協会の仕事を手伝っています。
ボクシング協会では、災害対策に力を入れています。
それは最近、地震や台風が多いからなのですが、今までは災害があったとき協会から義援金を出したり、チャリティーボクシングを開いて募金を
集めたりと、お金の方で支援をしてきました。
それだけではなく、人道支援もしようではないかという話が出まして、全国にボクシング協会は5つあるのですが、そこに災害対策委員を置いて、
災害があった時にはすぐに現場に行って支援をするという機関を作っています。
大したことは出来ないと思いますが、少しでも役に
立ちたいという気持ちで頑張っています。

それでは、減量についての話をします。
減量といってもボクサーの減量と一般の人のダイエットでは多少違いますので、まずボクサーの減量を私の体験談を通して話したいと思います。
私がボクシングを始めたのは、高校のクラブ活動からで、それまでは全くボクシングには興味が無くて、最初は体操部に入ろうと思っていました。
体操部の部室を見に行ったら、たまたま隣の部室がボクシング部で、その時にボクシング部の先輩に勧誘されたのがきっかけです。
勧誘というより騙されたのですが、髪型は自由で女の子にももてるという話だったのに、坊主にはされるし全然もてませんでした。
それでもボクシングの方は、実際やってみると意外と面白く先輩との上下関係も厳しく無くて、なんといっても練習時間が1時間半と短かく、こ
れは楽な部に入部したものだと喜んでいました。
それも半年までで、いきなり監督から「来月試合やるから、玉熊モスキート級ね」と言われ、それから苦しい減量生活が始まりました。
モスキート級というのは体重45kg以下で、当時私は身長が165cm・体重が51kgだったので、6kgの減量をすることになりました。
勿論それまで減量等やったことが無かったので、どうすればいいか先輩に聞いたところ、「食べなきゃいいんだよ」と大変いいアドバイスをいた
だいたので、仕方なく自分で考えてやることにしました。
減量といえばカロリー計算を思い浮かべますが、ボクサーの場合カロリーは練習で消費するので、カロリー計算をするのではなく、食べる量を減
らしていく方法にしました。
まず、期間を二週間と決めて、練習前と練習後・食事前と食事後とこまめに体重を量り、決めた体重になるように食事の量を調整していき、10日
で5kg減らす事ができました。
もともと痩せ型の体型で、10日で5kgの減量はペースが早く、最後の方は食べる量が少なくなり我慢することがきつくなりました。
1日中、食べ物や飲み物の事ばかり考えるようになり、夜も眠れられなくなりました。
我慢できずに飲み過ぎてしまう事もあり、そういう時は減量着を着て走りに行くのですが、走り終わって1時間もすると又我慢ができずに飲んで
しまうような事を繰り返していました。
計量の前の日には心も体も疲れてしまい、先輩に何か楽に落とす方法はないものかと聞くと、「それじゃあ、いいものをあげよう」ともらったの
はコーラック、いわゆる便秘薬です。
そのおかげで最後の500gは楽に落とすことができ、計量をパスすることが出来ました。
そのかわり、体調はメチャクチャでした。
それでも何とかデビュー戦は勝つことができました。
こんなメチャクチャな減量でも何十回とやっているうちに、自分なりに減量のこつをつかんできて、3年のインターハイの時は体調を崩さずすん
なり体重を落とすことができました。
そのコツというのは、人それぞれ違うものなのですが、共通することは時間をかけてゆっくり落とすという事です。
3年になると身長も伸び、体重も増えて一階級上のライト・フライ級でやっていました。
ライト・フライ級というのは48kgまでで、それでも7kg減量していました。
私の場合はその7kgを1カ月で落としていましたが、一般の人は減量した体重に体を慣らさなければいけないので、7kgでしたら2カ月はか
かると思います。
ボクサーは計量が終わると食べれるので、その計量の一瞬だけ落とせばOKなわけで、7kgを1カ月で落とすのは、ボクサーとしては大変ゆっ
くりしたペースです。
後、我慢をするこつですが、これは私流でのどが乾いて眠れない時はポッカレモンを1本飲むと眠れます。
お腹が空いて眠れない時は、ポテトチップスか、肉の脂身を100g炒めてたべます。
油がお腹の減りを抑えてくれるみたいです。
これはプロになってからもやっていたのですが、1回栄養士の方に話したところ、カロリーが高いからやめた方がいいと言われました。
でも、これは体のためでは無く、心を落ち着かせるためで、痛い時の傷み止めのようなものなので続けていました。
ダイエットの人の場合は時間があるので、この様な時は普通に食べて、また新しく減量の計画を作った方がいいです。
それでも3年の時のインターハイでは準優勝することが出来ました。
その時のインターハイでは、私の他に私と決勝を戦った新垣選手と、それから大橋選手・平仲選手と4人がプロで世界チャンピオンになってい
ます。
今考えると、この年のインターハイはレベルの高い大会だったみたいです。
私と大橋選手と平仲選手は、現在ジムをやっていて、教え子通しが試合をやっています。

高校卒業後はスポーツ推薦で法政大学に入学しまして、近くの神楽坂に下宿しました。
現在も神楽坂に住んでいて、九段でジムをやっており、この辺りには何か縁があるみたいです。
そうして大学に入ってから4カ月後の事なのですが、同じボクシング部の部員が喧嘩をして相手を死なせてしまうという事件がありました。
ボクシング部は活動停止になってしまい、スポーツ推薦で入った私は悩みました。
その時に高校と大学の先輩である国際ジムの高橋会長が、プロに誘ってくれてプロになる決心をしました。
それでも流石に大学に入って4・5カ月で止めるというのは親に申し訳がなくてせめて入学にかかったお金を少しでも返してから辞めようと思い、
3カ月バイトを頑張りその分のバイト代を親に渡し退学しました。
その翌月の1月25日、19歳の誕生日に国際ジムに入門しプロになりました。
こういう経緯でプロになったので、プロになってから喧嘩はいっさいしていません。
後輩や教え子にも、喧嘩をしないように指導しています。
現在、中三と小六の息子がいるのですが、最近のゲームやマンガ・映画などの格闘シーンでは、何度殴り合っても主人公はたいした怪我をしてい
ないなんて事がよくあります。
そういう過った見識を子供に植え付けるのは間違いだと思います。
人間は、もろいものだという事を教えて、暴力をしない大人に育てたいですね。

プロになってからの減量なのですが、高校の頃よりもだいぶ楽になりました。
それというのも、減量の量が減ったのではなく、練習がきつくなったからなのです。
勿論、プロといってもボクシングだけでは生活ができないのでバイトをしていました。
朝3時間・夜3時間と1日6時間の練習量となり、高校の時の3倍の練習量になりました。
本当にキツかったです。
一回の練習で3kgは落ちるので、減量の方はしやすくなりました。
1日で6kg減らした事もあります。
当時身長172cmで体重58kgだったのですが、減量がしやすくなったのでジュニアフライ級でやっていました。
この階級では自分より大きい選手はいませんでした。
ジュニアフライ級というのは48.9kgなので、約9kgの減量をしていました。
それでもジュニアフライ級では体重が落ちても体が動かなく、2年間で11戦して8勝3敗と最後は2連敗してしまいました。
この時、プロをやめようかとも思ったのですが、階級を上げて思いっきり試合をして、それで負けたら諦めようと考えなおしました。
階級をフライ級に上げてからは、日本チャンピオン・世界チャンピオンと進むことができました。
ここで減量の大切さがわかりました。
体が動かなくなるような減量をしては、試合には勝てません。
フライ級に上げてからは、7kgの減量になりますが、慎重にやっていました。
やり方は1週間で4kg落としてそれを3週間維持し、最後の3日で3kg落とすというやり方です。
最初4kg落とした時には、同じ練習をしても1kg落ちるかどうかなのですが、それを3週間維持すると2〜2.5kgは落ちるようになります。
つまり、その体重に体が慣れてきたという事で、脂肪を落としたという事です。
もともと58kgの時で体脂肪7%なので、脂肪を落とすのは54kgまでで、あとの3kgは水分で一気に落とします。
ボクサーの場合は、計量が終わったら食べられるので、少しでも元の体に戻して試合をするため、最後の2・3kgは一気に落として一気に戻すと
いうやり方をします。
私の場合、当日計量だったため試合の時には2kg位しか戻せなかったのですが、現在は前日軽量になったので1日で7kg増やしてくる選手も
います。
この事からも、急に体重を落とすと体重が増えやすくもなるという事が分かります。
私のジムにも、10日で5kg痩せたいとかいう人がよく訪れますが、「落とすことはできるけれどダイエットにはならないよ」といつも言ってい
ます。
このような経験からダイエットのアドバイスをすると
第一に無理なダイエットはしない。
カロリー計算をしながら、ゆっくり期間をかけて体を慣らしながらする。
第二に最近ダイエット用の薬が沢山でていますが、なるべく使わないようにする事が必要だと思います。
第三に普段から汗をかくようにする。運動でもいいしお風呂でもいい。
運動の場合はジョギングとかジム・ワークなど、運動が苦手な方は散歩でもいいです。
適度な運動は体にもいいですし、ストレスにもいいです。
うちのジムでもストレス発散のために、サンドバッグを叩きにくる人もいます。
ものを思いっきり叩くというのは、ストレスにはいいみたいです。
又、お風呂ではカラスの行水ではなく、汗が出るまでゆっくり入ってください。
最近クーラーの普及で汗をかきにくい人が増えています。
新陳代謝が悪いと、体に良くないし、太りやすくなります。
汗をかくようになると、ダイエットもしやすくなります。
第四に、ダイエットには失敗がつきものなので、失敗しても諦めないで、何回も何回も挑戦することです。
繰り返し何回もやる事で、自分なりのダイエットのコツがつかめるようになります。
減量に慣れている私でも、必ず何回かは失敗します。
失敗も計画に入れてやるといいです。
ダイエット中には体重が逆に増えてしまう事や、我慢していないのに自然に体重が減ってくるという事もあります。
体重が増えた時に諦めずに続ける事が一番のコツだと思います。

今日はこの辺で私の話は終わりたいと思います。
最後まで、おつき合いいただき有難うございました。